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18 『写真は真を写すか?』
 

写真は必ずしも真を写すものではありません。厳密に言うならば、決して

真を写さないと言えるでしょう。何故なら、肉眼で見ている状態を真と仮定

するなら、写真に写された映像は、もう既に真ではないのです。
 
例えば、肉眼は両眼ですがカメラは単眼です。また被写体の明暗も肉眼

では常に明るく見えますが、フィルムやプリントに写されたそれは異なりま

す。更にレンズ等の特性として、ワイドは被写体の形がデフォルメされ、遠

近感も誇張されますし、望遠では被写体は極端に圧縮され、距離感も詰

まって写ります。また更にボケ効果というのも肉眼では捉えられませんし、

シャッター効果によりストップモーション的な映像や、ブレ効果等も視覚外

のものです。このように数えきれないほど列挙できます。
 
しかるに何故か写真は観念的に真を写すものだと思っているのが普通で

す。写真が真を写すという神話的イメージが定着してしまい、この為に起

こる弊害も今では無視できないものになりつつあります。現に社会問題さ

え起きています。写真そのものの方向性にも支障を来しています。
 
一つには真にこだわる故に記録重視となり、ジャーナリズムの影響もあっ

て、工夫や創造性が押し殺され、芸術性が乏しく発展性も欠いています。

ドキュメンタリーやスナップ主流の方向性のみ一人歩きしています。
 
写真は決して真を写すものではなく、この真を強調すればするほど返って

真を歪めることになります。このことを理解することが大切です。 
 
例えば、在りもしないものを在るように見せることなど、写真のテクニック

ではいとも簡単にできます。嘘を真しやかにするのが写真だといっても過

言ではないでしょう。このことはこれからの写真、ことに CGの世界になる

と益々著しくなり、何が真で、何が本物かということすら無意味になってい

くでしょう。
 
今、我々は写真が真を写すという神話を捨て去るべき時にきています。で

ないと世界は混乱を呈することになりかねません。真の持つ意味合いは

地に落ち、虚が真と逆転する時代が来ることになります。写真に携わる我

々だけでもこのことをしっかり認識して、写真は単に真を強調するもので

なく、表現としての一つのジャンルとして、写真は写心と認識し直し、物の

リアリティーを写すのではなく、心のリアリティーを写す方向を目指すべき

だと思います。自己表現としての作品作りにいそしみ、立派な芸術の一分

野としての市民権を獲得する方向を模索していかなければならない時代

にきています。今当に写真は変革のとき、芸術としての夜明けを迎えよう

としているのではないでしょうか。物の真にこだわらず、心の真を強調する

時代を迎えようとしているのですから........。

                                      −守道ー

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