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≪ はじめに ≫ 


写真に関する手引書の類いは、技術的イロハからプロの奥義といったも

のまで多
種多様に出回っています。技術書の必要なことは言うまでもあり

ませんが、しかし
技術を学ぶ以前のことに触れた本は余り見かけません。

例えば、「なぜ技術が必要なのか?」「どうすれば感性が磨け、発揮でき

るのか?」
或いは、「どうすれば感動を与える作品が撮れるのか?」等々

といっ
た事柄についてのものです。

観る人に感動を与える良い作品を撮るには、単に表現技術の問題だけで

は不足で
す。良い作品とは「表現内容」の問題だからです。

「何を表現し」「何を訴えるか」というテーマや作者の個性や感性、更には

精神的内容等を表現する
ためにはどのような技術が必要なのか、という

「心・技」の双方的な問題だからです。

ところが巷に満ち溢れた解説書や大手の写真教室、更にメーカーやディ

ーラーの
開催する写真講座にあっても、カメラの扱い方、写真の撮り方、

作品講評といった
ものは盛んに行われておりますが、とりわけ精神性を

重視した指導やその類いの書籍等は余り見かけません。

個性や感性豊かで自由な作品作りを目指すには精神性、即ち、表現内容

が大切だ
と思います。真の作品作りは、作者の個性や感性を磨き発揮す

ることです。各人各様にものの
見方・考え方は異なります。それを伸ばし

てあげる方向での指導が望まれます。

昨今の教育にありがちな画一的指導や単なる技術主体のあり方では、せ

っかくの
各人の個性を殺してしまうことになります。個人々々が自由な視

点と自由な発想で、
しかも自由なテクニックを発揮できるような方向に仕

向けることを主眼においた指導
が、今求めらています。

私の主宰する「不二写心塾」では常々、表現における精神性の重要性を

説いてきま
した。「写真は心を表現するもの」、又、「心を写するもの」であ

る故に、写真
は「写心」であると強調してきました。この『写心不二論』に

収めた抄文は、その時々の講義の内容を纏めたものです。

「写心とは何か?」から始まり、「写心芸術のあり方」、更には「アマチュア

写真の
方向性」まで、『写心』に対する私観を披瀝しています。

写真はまず、撮る人の姿勢から始まり、何を表現し、何を訴えるかという

精神的テー
マを模索して個性と感性を磨きあげながら、同時にその表現

のための技術を培っ
てこそ、観る人々により深い感動を与えられる作品

づくりが可能となるのです。

精神的内容を磨かずして、只、被写体の良さだけに助けられたり、シャッ

ターチャン
スのみを優先した写真には奥深い何ものもなく、すぐに行き詰

まりが生じるでしょう。

観る人に熱き想いを語れるような『写心』のあり方を模索し、その表現の

為の方法
としての「技術」をマスターして頂きたいと願っています。

この拙著がその為の一助となれば大いなる喜びであります。

「心と技術」は共に磨いてこそ、真の価値ある生きた作品が生まれること

になります。
この様な「心技一体」の写真こそ『写心』そのものを意味する

ことなのです。

                                     ー守道ー

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